FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年12月10日放送

『桑名もち小麦』
パンやパンケーキ、パスタなどに使われもっちりとした食感が人気です。
今回は、桑名市にある食材卸問屋『保田商店』の保田与志彦さんがお客様。
保田さんは地元の農家と一緒に「桑名もち小麦」のブランド化に取り組んでいます。

戸時代の末期から創業で小麦や砂糖の卸を商いとしてやってきている

当社の歴史からいうと、江戸時代の末期には三重県の桑名で商売をさしていただいていて、その頃は材木商をしていたそうですが、そこから両替商、飛脚、などを経て糖粉商…砂糖と小麦を扱うようになって五代と言われています。
桑名は三重県の中でも、どちらかというと古い街でありますので、私だけではなく、そうした会社も活躍されているので、その中の一つとしてがんばっております。
もともとサラリーマンをしていて、その後家業を継ぎました。
卸という存在が、みなさんご存知の通り、ちょっとずつなくなってきています。
自分の中でも、『卸』というものへのやりがいの部分にちょっと自分の中で疑問があったりして、そうした中で、15年ほど前からインターネットが普及しつつあり、これまでだとデリバリーで地域内での商売だったのが、そうではなく、ネットを使って全国でやっていこうと。
それが『もち小麦』でした。
特徴もあって、美味しさを感じやすいので、桑名で作ってブランド化できないかと考えていたところ、たまたま農家さんであるRCさん(ライスセンター)と意気投合して、桑名で地産地消も含めて、そういう活動をしようと、はじまりました。

 

麦を作ってくれる伊藤さんとの出会いは大きかった

農家さんはとても大変で、被害があったら全滅とか、ニュースでやっていますよね。
ですから補助金がたくさん出るものに転作するとか、そういった中、ライスセンターの伊藤さんは、自分自身でお米を売っていたので、
自分の思いをお客さんに届けたい。
小麦って実は、普通に作っていると混ぜられてしまうんですよ。
でも、ウチが全部買い取ることによって、自分の作った作物が、ウチからきちんと消費者に届くということに共感し賛同してもらったので、根本は情熱のある農家さんと出会ったということが、私の幸運でした。
本当は自分で作ったりとかも考えましたが、餅は餅屋に任せて。
自分のやるべきところはブランディングなどなので、栽培についてのアドバイスというよりも、栽培現場を見ていただく機会を増やすとか、小麦に対しての理解を深めてもらうことが私の仕事だと思っています。
実は12月3日に、毎年、畑で『種まきまつり』というのを開催しているので、だいたい70名くらいで参加してもらっています。
そういう機会をみなさんに提供したいですね。

 

の原点に帰ることができる商品をプロデュース

自分で作った麦茶を麦ストローで飲む…すべて麦づくしの商品を作ったり。
そうすることによって、今までは粉でしか見たことのなかった、麦の『穂』も見ることができ、体験できます。
スタッフのみんなと話しながら、『こんな商品があると面白いね』とか。
ウチはアンテナショップで『ムギカフェ』もしているので、そこでいつもワークショップを開催しています。
例えば、麦茶を麦から作ろうよ、とか。
そうすると麦茶が麦からできている、という発見もしてもらい、食の原点に触れる機会であるとか。
もともとウチは卸で小麦を運んでいるところですが、農家さんと出会うことで、麦の原点に帰ることができています。
原点を私が発信するということが、自分の役割だと思っていますので、麦の原点に帰ることのできる商品を開発しています。
今でこそ麦のストローもSDGsの象徴みたいな感じですが、ウチでは8年ほど前から作っていますし、学校さんと作ったりしているので、地域の人たちとともに自然なもの、麦に関わるものをPRする役割だと思っています。

 

名もち小麦から始まったプロジェクトは県内全域に広まった

卸というのは、最初はつまらない商売だと思っていましたが、一番身近に原材料があるということは材料の良さを自分が一番知っていて、かつ、活用できる立場にあるので、発想の転換で、卸で良かったなと思える人生にしていきたいですね。
江戸時代からお世話になっている大好きな桑名に、なにか恩返しできないかなと思う部分があります。
自分のパーソナル的な話としては、私は母が早くに亡くなったことと、自分にも持病があることなどから、一度しかない人生なので、たくさんのことを経験したりトライして、それが最終的に人のためになったら良いなと思っています。
ウチの商品のコンセプトが『ドキドキ・ワクワク』です。
『ムギカフェ』も含めて、そういうのを中心にして、自分も楽しく、買う人も楽しく、体験する人も楽しく…が、テーマだと思いますね。
桑名もち麦プロジェクトをはじめたとき、パン屋さんと農家さんと流通の私でしたが、今では商工会議所さん、桑名市さん、三重県さん、JAさんという形で、『桑名もち小麦協議会』となり、どんどん広がっています。
私が勝手に、もち小麦を育てたいな、との思いの種から、ちょっとずつ育っていき、三重県全土に広がっていったら素敵ですね。

みなさんが笑う目標ですが、宇宙食でもち小麦を使ってくれないかな、ということ。
宇宙から『桑名もち小麦』とならないかな、と。
届かないくらいの目標が一番良いと思い、それを目指してがんばっています。